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オオキトンボの里づくりプロジェクト

オオキトンボとは?

★トンボ科 アカネ属(アカトンボの仲間)
★体長約50mm、アカネ属では大型です。

★体には雌雄とも斑紋がなく、脚も含め一様に緑味のある橙黄色。前・後翅は全体が一様に薄い橙色。
★環境省レッドリストでは、絶滅危惧IB類「近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種」に指定。愛媛県レッドデータブック2014では、絶滅危惧Ⅱ類「絶滅の危険が増大している種」とされています。

プロジェクトの概要

オオキトンボSympetrum uniformeは全国的に数が減っていますが、愛媛県松山市北部では比較的安定した生息が確認されています。
しかしながら、平地のため池に依存した種であることから、営農とため池の水管理や改修に生息環境が左右される状況にあります。また、保全に必要となる生活史に関する情報も充分ではありませんでした。
そこで、平成28年度の調査においては、生活史の解明のために発生生長の調査、個体数の調査を実施するとともに、稲刈り後に水抜きをする伝統的なため池管理がオオキトンボの産卵に適した環境を創出していることの検証に取り組みました。

平成29年度からは3年計画で、愛媛県生物多様性センターの協力を得て専門家とともに、オオキトンボの個体数(羽化殻数)などの調査を継続し、経年の生息状況を明らかにしていきます。また、同じ地域のため池でもオオキトンボの生息の有無が見られるため、地形や植生、他の生物の生息状況、水質を含めた生態系の特徴も併せて調査します。さらに、羽化後の夏場にどのような環境で過ごしているか、秋にため池周辺に戻ってどのように移動するかなど、生息環境の保全に必要となる生活史・生態の解明にも取り組みます。

また、地域の人々がオオキトンボの存在を知り、保全に取り組む機運を醸成するために、観察会やトンボに関するフォーラムなどを開催します。地元の小学生に関心を高めてもらうために、里地で観察できる生き物を調べるためのツールを開発し、観察会などを提案・実施を重ねていきます。

さらに、オオキトンボなど里地の生き物が生息できる環境に寄与する現在の農作業が継続されていくことを目的に、地域住民、専門家、行政等関係者による「オオキトンボの里保全活動計画(仮称)」の策定を目指して、情報収取・整備を行っていく計画です。

★このプロジェクトは、独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて実施しています。

情報提供のお願い—オオキトンボの避暑地はどこ?

オオキトンボは、松山市北部のため池では、6月初旬頃から多くの個体が羽化しますが、その後9月下旬頃から産卵のために再びため池に戻ってくるまでの夏の間は姿が見られなくなります。
同じアカトンボの仲間(アカネ属)には、長距離移動し高地で避暑をおこなうアキアカネや、羽化後も近くの林に留まるマユタテアカネなどが知られていますが、本種の夏場の生息地は、記録が多くはありません。
オオキトンボを夏季(6月中旬~9月上旬頃)にため池から離れた場所( 例えば、高縄山の谷間)で採集・撮影した、もしくは過去のそのような記録をおもちでしたら、是非ご一報ください。
オオキトンボの次の情報を求めています!
★生態写真や採集時の写真およびその位置情報・年月日
★目撃の位置情報・年月日
★標本データ:採集の位置情報・年月日・写真
*「オオキトンボだったような気がする」という情報でもかまいません。
*6~7月には、生息域の調査のために、オオキトンボにマーキングを行っています。翅に印のあるトンボを見つけたり、印のある翅が落ちていましたら、お知らせください。
*位置情報は地区名と環境(果樹園/川の土手など)と、可能ならば緯度・経度をお知らせ下さい。
*特に夏季の情報を募集しますが、夏季以外の情報もお寄せ下さい。
オオキ情報提供のお願い_170713

2017年10月22日「風早トンボサミット!」の開催

2017年10月22日、地元の人・市民にトンボへの関心を高めてもらうこととともに、全国的に減少しているオオキトンボが生息する環境が松山市北部では維持されていることを発信し、同種の保全の機運を高め、保全計画作りのきっかけとすることを目指して開催しました。

■アカトンボの産卵観察会(オプション)
■講演「トンボすごいぜ!」苅部 治紀 さん(神奈川県立生命の星・地球博物館 主任学芸員)
■トンボを守る活動の報告
(1) オオキトンボのなぞ ~オオキトンボの好きな池とは?~
久松 定智 さん (愛媛県生物多様性センター)
(2) 日本最小級・五円玉サイズのミニトンボ、県内ただ一つの生息地を守る
近藤 茂孝 さん (庄内ハッチョウトンボ保存会)
(3) 新潟のマダラナニワトンボを守る活動
苅部 治紀 さん (神奈川県立生命の星・地球博物館)
■ディスカッション 「守りたい 人と自然の豊かな関わり トンボから」
トンボの保全活動について、どうやったらよい成果があがり、地域にもメリットがあるのか、発表者とともに意見交換。コーディネーター:松井 宏光  (NPO森からつづく道)
■会場展示 「風早(北条地域)のトンボたち」 高橋 士朗 さん 撮影
風早トンボサミット!概要(チラシ)
開催の様子はコチラ