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もりみちブログ

2020年8月6日

75年前の傷跡

 愛媛県森林公園の森の中で,幾筋もの細い掻き傷がついているアカマツの朽ちた株を見た。これは第2次世界大戦の末期(昭和20年の数年前頃),すでに日本軍の戦闘機の燃料が不足していたことから,アカマツの樹皮に傷をつけて滴る樹液を採ったり,アカマツの根を蒸留して樹脂を採ったりした。それを精製すると飛行機燃料となると言われたが実際に使われたことは無かったようだ。児童や青年団などが大量に動員され,傷つけられたり伐倒されたアカマツは膨大な数だろう。
 今ではアカマツ林が急減し,森林公園でもかつてのアカマツ林はコナラやアラカシの林となってしまった。今ここを訪れる人はかつて一面のアカマツ林であったことには気づかないだろう。掻き傷のあるアカマツの古株も中身は大部分が朽ちているが,なぜか掻き傷の部分だけは75年以上を経ても鮮明に残っている。
 学生時代は被爆建物である広島大学理学部1号館に6年間通っていたがその頃は8月6日の広島平和記念日は早朝から市内は厳かな雰囲気に包まれていた。広島を離れてもう40年以上もたち今日がその日であることを昼のニュースで知った。hmatsui

掻き傷の残るアカマツの朽ち株


掻き傷の残るアカマツの朽ち株2


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