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もりみちブログ

2019年5月16日

足元の植物にも目を向けよう

自宅近くの「猛牛堂」という古書店で,「足もとの植物」(恵良弘司,1947)という本を見つけた(図1)。値段は100円。即購入。著者の恵良氏は福岡第一師範学校の教官で,はしがきの冒頭に「ふみじられても,切りはらわれても,次々に新しい芽を吹き,いじらしく花をつける道端の草に,私は限りないいとおしさを感ずる。それが、一つ一つの草が,ひなびた美しさを持っているからであり,又力の限り生き抜こうとする努力の姿が,みとめられるからであり,うき世のさまのそのままを,あらわしているからでもある。」(原文のまま)としている。そして,ドクダミ,スミレ,カタバミ,オオバコなど99種を表にまとめている。その中に,アレチノギク,ニワゼキショウ,ヒメコバンソウ,シロツメクサ,アカシアといった外来植物が入っていた。さらに,イノコヅチ,キンミズヒキ,コオニタビラコなどの植物を図で紹介している。

古本屋でこの本を見たときに,「スキマの植物図鑑」(塚谷裕一,2014)を思い出した(図2)。「足もとの植物」は1947年当時のまさに「スキマの植物図鑑」であると思った。「スキマの植物図鑑」には,ヒメオドリコソウ,オオイヌノフグリ,ハルジオン,ナガミヒナゲシ,ブタナ,オニノゲシ,ノボロギク,ヒメジョオン,ツタバウンラン,ペラペラヨメナ,ヒメヒマワリ,タマスダレ,セイタカアワダチソウ,ヒメツルソバなどの多くの外来植物が収録されている。道端の雑草たちにも国際化の波が押し寄せている。

2019年2月,松山市の住宅地において足元の植物を眺めてみるとキュウリグサ,オオアレチノギク,オランダミミナグサ,アメリカフウロ,チチコグサモドキ,ナガミヒナゲシ,ムラサキカタバミなどといった植物がみられた。外来植物が多かったが,種数も多く,そして道端の隙間で巧みな戦略で冬越しをしている姿はなかなか興味深いものがあった。

改めて足元の植物たちにも目を向けてみると,精一杯生きている雑草たちの姿が愛おしく少し元気が出る気がした。

文献

・恵良弘司,1947.足もとの植物,79pp.,西日本新聞社.

・塚谷裕一,2014.スキマの植物図鑑,182pp.,中央公論新社.

(2019/03/24)khashigoe


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