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もりみちブログ

2018年9月23日

デンジソウの残る田んぼ

デンジソウは愛媛県内では2~3ヶ所しか現存していない。9/22,そのうちの一ヶ所,2013年に現存を確認した中予沿岸の田んぼを訪れるとまったく消えていた。しばらく近隣の田んぼを探し回っていたところ,以前の確認地から1キロほど離れた放棄された田んぼの一角でひとかたまりのデンジソウを発見して一安心。そこはコガマやカヤツリグサ類が生育しているが,一部が草刈りされており,その部分で草丈の低いデンジソウはなんとか生育できている。しかしもし草刈りがされないと翌年には湿生の高茎草本が繁茂してデンジソウは消えるだろう。またいつ造成されて宅地になるかも知れない。デンジソウはかつては全県に普通種だったと思われるが,今では愛媛県RDBでもっとも絶滅危険性の高いCR(絶滅危惧ⅠA類),環境省ではVU(絶滅危惧Ⅱ類)である。今回見つけたデンジソウ自生地は私有地であり,長期にわたる現状の維持を所有者の善意に期待することは難しい。自生地とは別に確実な保全が可能な環境に移植することが必要である。望ましいのは地域住民・NPOと行政・専門家などの連携による貴重種の保全の機能を持たせた慣行的農作業による水田であろう。この場合,元の自生地で消失した場合でも,EW(野生絶滅)は回避される可能性がある。かつて別の場所でほ場整備で自生地がなくなるデンジソウを人工の溜め池(大規模なビオトープ)に移植したことがある。そこでは数年間増加しやがて消失した。そのため複数の場所での種の保存も必要である。2018/9/23,hmatsui

休耕田の湿地に残ったデンジソウ


デンジソウの群生

田んぼの片隅の水溜まりではミズオオバコが開花

水路や田んぼにはメダカが群れて泳いでいる


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