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もりみちブログ

2019年11月18日

スーパーサイエンスカフェ 四国山脈のケモノたち

11/17,愛媛大学総合情報メディアセンターでスーパーサイエンスカフェ「四国ってどんな島 第2回四国山脈のケモノたち」を開催した。

講演と概要は以下のとおり。
➀ 四国のツキノワグマ 安藤喬平氏(認定NPO法人四国自然史科学研究センター 研究員):四国では1978年頃は東部徳島・高知県境付近と西部の愛媛・高知県境付近に生息していたが,1996年には推定50頭未満,現在は16~24頭に減少し20年後の絶滅確率は最大62%。減少要因は人工林拡大と害獣駆除。「四国のツキノワグマを守れ!50年後に100頭プロジェクト」を開始しているが,人々の保全意識の啓蒙も必要である。なお毛皮やパネル展示もあり,多くの人の関心を惹いていた。
➁ 四国のニホンカモシカ 金城芳典氏(同上  センター長):東北地方~中部地方,紀伊半島に分布し,四国・九州では分布が限られている。四国のものは体色が黒く,角が短く,体格が小さいという特徴があり,地域個体群として重要である。近年,個体数の減少と生息域の拡大・ドーナツ化が進行している。その要因として植林の壮年齢化と下層植生の衰退(シカとの競合?)が考えられる。
➂ 四国の森にすむ小さな哺乳類  山本貴仁氏(NPO法人西条自然学校 理事長):愛媛県ではトガリネズミ類,ネズミ類,コウモリ類などの小型哺乳類の種数は全哺乳類の1/2ほどだが,小型ゆえ実態はあまり知られていない。そこでシントウトガリネズミ,ニホンジネズミ,ヒメヒミズ,ヒミズ,コウベモグラ,アズマモグラについて特徴や生態について詳細を解説した。まだ確認例が少なく,各種の分布域,生息標高の違いなど課題があり,参加者に情報提供を呼びかけた。

それぞれ約35分間,普通は見ることのない四国の奧山に棲む哺乳類の話をたっぷりと聞かせていただいた。最後のディスカッションでは,哺乳類の減少(あるいは増加)は,人と森との関わりによって持続していた植生の多様性が薄れたことも背景にあり,今後,人工林管理の疎放化,放棄耕作地の樹林化,人口減が進行するなかで,四国の森林をどう考えていくのか新しい局面を迎えているということで締めくくった。2019/11/18,hmatsui

安藤喬平氏

安藤喬平氏

金城芳典氏

山本貴仁氏

ツキノワグマの爪


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